今回の記事は
という人向けの内容です。 結論としては
- 紙幣が汚いから
- キャッシュレスの方が便利でお得だから
- 圧倒的シェアを誇る、大企業の存在があるから
- 人口が多いから
- 場所によっては治安が悪いから
- 国土が広く、地域ごとに貨幣が微妙に違うから
- 偽札も多いから
- お金を人にあげる文化があるから
- お金についておおっぴらでポジティブな文化があるから
だと感じました
ということです。
もくじ
上海、深セン、広州に行ってきました
こんにちは、キラです。
カバン2つにカメラやドローン、PCをつめて、 上海→深セン→香港→広州、と、約1ヶ月かけて動きました。
今回の目的は、「中華圏の国の春節を撮りたい!」というのと、
「中国のキャッシュレス社会を体験してくること」の2点です。
前回の中国滞在は、2017年に上海に丸一日滞在しただけで、ほとんど何も見ることはできなかったんですが、
今回は、上海深センと合計で2週間以上は滞在。色々見てくることができました。
中国のシリコンバレー、深セン
今回の滞在の最大の目的地、中国深セン。
ここは近年、「中国のシリコンバレー」などと呼ばれ、大変注目されています。
位置的には香港と広州に挟まれた位置にあります。
この深センという場所、ざっくり説明すると、
中国で最近、人も集まり産業も活性化して、とても盛り上がっている地域のこと。
とくに、ハードウェア(機械の本体のこと)産業に強く、「中国のシリコンバレー」とも呼ばれている。
各国からのアクセス、キャッシュレスなども含めたハイテクなインフラも含め、今中国で最もアツい場所
という感じです。ちょっと長い?
この場所や歴史、何がスゴイのかについては別記事でまた書こうと思うのですが、
まあとにかく、
と理解していただければOKです。
キャッシュレス社会もすごい
この深セン、社会インフラも大変ハイテクで便利です。
特に注目されているのは、スマホ決済を主とした、キャッシュレス社会です。
今回は、この深センを中心として、上海や広州などで体験して考えた、キャッシュレス社会についての考察を書いていきたいと思います。
今さらきけない「キャッシュレスってなに?」
まず、「キャッシュレスってそもそも何?」という人のために、一応、簡単に言葉の説明をしておきます。
「キャッシュレス(Cashless)」というのは、「cash(現金)」を「less(減らす、無くす)」こと。
つまりは、「現金を使わない(でお金のやりとりをする)」という意味です。
そして、ここで言う「キャッシュレス社会」というのは、 「現金を使わずにお金のやりとりをすることが個人、企業間などで浸透した(当たり前になっている)社会」のことです。
で。世界の中でもそのキャッシュレス社会が最も先進的と言われているのが、中国なのです。
(中国以外だと、北欧スウェーデンもスゴイですね)
中国の中でも特に、深セン、広州、上海などの大都市がスゴイ、と。
こんな記事も、話題になりましたね。
日本が中国に完敗した今、26歳の私が全てのオッサンに言いたいこと
深センに行ってみて、エンジニアはこんな街に身を置くべきだなと思った
しかし百聞は一見に如かず。僕も中国に滞在して、その先進性を見て、体験してこようと思ったワケです。
実際、中国のキャッシュレス社会はすごかった
今回、中国のキャッシュレス社会を見るために上海、深センに滞在してみたワケなんですが、噂通りの素晴らしさでした。
日常生活でお金を使うあらゆる場所で、スマートフォンを使ってた決済が可能で、財布なしで生活することが可能です。
公共交通機関、タクシー、コンビニ、飲食店やデパート、 果ては屋台や個人間のお金のやりとりまで、全てスマホのアプリを使って決済が可能です。
さらには、スマホ決済で、自転車をどこでも使えたり(1回10〜20円くらいです)
「貸し傘」を利用できる場所までありました。こちらは使用していないので値段等は不明。
よく見るとQRコードのタグがひとつひとつに付いています。
どんなアプリケーションを使ってる?
中国で使われている決済アプリは、主に2つ。
「WeChatPay」と「アリペイ」です。
「WeChatPay」は、日本でよく使われているLINEの元にもなったアプリですね。
基本はメッセンジャーアプリですが、決済機能が導入されて、これも非常によく使われています。
そして「アリペイ」。
中国最大手のEC(通販)会社「アリババ」が提供する決済アプリで、タイミング的にはWechatPayの後追いだったそうですが、巨大資本によってお得なキャンペーン等をどんどん打ち出して、シェア率を伸ばしています。
基本的には、この2つのアプリがあれば、中国の都市部で決済できないものは無い、と言っていいほど、キャッシュレス・システムが社会に浸透しています。
現金完全排除というワケではない
では、現金は全く使えないかというとそんなコトもなく、たいていの場所では普通に使えます。
つまりは、ほぼ全ての場所で、現金もスマホ決済も両方できる、ということ。
実際に行く前は、
とビビってましたが、そんなことはありませんでしたw
ただし、後述するような理由により、多くの人が現金より、スマホを使った電子マネー決済を選んでいる、というのが実態です。
僕も、実際に電子マネーと現金の両方を現地で使ってみました。
というわけで、以下が本題。 実際に現場を見て、体験して、現地の人とも話をしてわかった、「中国でキャッシュレスが急速に進んでいる理由」です。
1,紙幣が汚いから
まず、日本人の僕が最初に気になるのが「紙幣の汚さ」です。
これは、中国に限ったことではないのですが、諸外国の紙幣はまあ、あんまりキレイじゃないです。
中国の場合、貨幣の種類はそこまで多くなく、わかりづらさや不便さを感じることはなかったのですが、
少額紙幣、特に少額の5元、10元札は、たいていクシャクシャで汚れています。
これについては、以下の記事にも書きました。
個人による貨幣の使い方や国による通貨発行・管理のバランスによるものでしょうが、 原因はともあれ、クシャクシャで汚いお札って、持っておきたくないし、使いたくもないですよね。
元気な兄ちゃんが洗ってない手で触ってるかもしれないし、 屋台のオバちゃんがソース付いた手で触ってるかもしれないし…。
単純な意見ですが、まずはこれが中国でキャッシュレスが復旧している原因でしょう。
後述しますが、国も、キャッシュレスへの移行のためにわざと通貨発行数をどんどん減らしているのかも。
2,キャッシュレスの方が便利でお得だから
上海行きの飛行機で隣だった、中国北部に在住のMさん(34歳女性、二児の母)に「現金じゃなくスマホアプリで決済を使う理由は?」と聞いてみたところ、
とのこと。
そう、便利でお得なんです。
スマホアプリでの決済はどこでも可能な上、「Wechat(orアリペイ)で払うと15%安くなる!」みたいなのも多いんだとか。
そりゃ、便利でお得なら、みんなそっちを使いますよね。
もちろん日本でも、「クレカ支払いなら○%お得」とか「マイルが貯まる」みたいなキャンペーンを行う企業が多いですが、一般個人への浸透率は高くありません。
対して中国の「キャッシュレスの方がお得」は極めて分かりやすく、 多岐のサービスにわたり、一般への浸透率も高いようです。
日本だろうと中国だろうと、一般個人は「お得で便利な方」を使うんですね。
日本でキャッシュレスがまだまだ浸透しない理由も簡単で、日本ではまだ、現金の方がお得で便利だから、でしょうね。
3,圧倒的シェアを誇る、大企業の存在があるから
さて、ではなぜそのような「お得なキャンペーン」を中国では実施できるのかというと、
中国には「圧倒的シェアを誇る大資本企業」の存在があるから、と僕は思います。
先述のように、中国の決済アプリは主に「Wechat」と「アリペイ」が利用されますが、 これらのアプリをそれぞれ提供する「テンセント」や「アリババ」などの企業は、圧倒的なシェア、資本、開発力を誇る企業です。
テンセントの昨年末時点での株式時価総額は、並み居る巨大国有企業を抑えて、中国企業でトップに立っています。
世界では6位ですね。社員は4万1000人もいます。
米国なら、GoogleやAppleみたいな存在ですね。
提供企業のパワーが圧倒的だから、提携サービスや会社も網羅して、お得なキャンペーンもどんどん打てる、と。
結果として、ユーザーにとっては「便利でお得」な存在となるわけです。
これが日本だと、未だに銀行、ベンチャー、その他様々な企業がそれぞれで決済アプリの開発や宣伝を頑張ってる、という状態です。
まだまだ黎明期で、圧倒的強者といえる大資本企業が市場を独占、という段階ではないと思います。
圧倒的大企業が一気にシェアを取ってシステムを作っていった結果、ユーザーにとってお得で使いやすいキャッシュレス社会ができた、というのが僕の考える理由の一つです。
4,人口が多いから
中国に着いてすぐに思いました。「人が多い!」と。 中国の人口は13億人。
国土も広いとはいえ、都会には人が集中します。そりゃ多いハズ。
この沢山の人がみんな、あらゆる場所で現金を使ってモタモタ決済していたら、どうなるか?
あらゆる場所が混みます。たぶん。
日本人にわかりやすく言うなら、東京の新宿駅で、みんながモタモタと切符を買ってたらどうなるか?という感じ。 多分、今以上にめちゃ混みます。
当然なんですが、キャッシュレス決済の方が、一人あたりにかかる時間は短く、混雑もしにくいです。
(日本の駅改札での「ピッ」を想像してください)
というわけで、キャッシュレスは混雑解消にも一役買っているな、と気が付きました。
それでも、人気の場所は混むんですけどね。
写真は、上海の豫園です。
5,場所によっては治安が悪いから
現地の人曰く、中国の一部では、治安が悪く、人の遵法意識(法律を守る気持ち)も低いこともあるとか。
そういう場所では、お金を盗む犯罪が発生します。
人混みの中ではスリが、お店では強盗や現金の持ち出しが起こる、と。
キャッシュレスの仕組みは、この犯罪を未然に防いでくれます。
例えば、人のスマホを盗んでも認証コードや指紋がないとお金は使えないし、レジには現金がほとんどないので持ち出せません。
もちろん、サイバー犯罪など、別の形での犯罪が発生する可能性は上がりますが、少なくとも、アナログに人のお金を盗る犯罪は防ぎやすくなるでしょう。
これも、中国ならではの、システマティックな管理社会ですね。
6,国土が広く、地域ごとに貨幣が微妙に違うから
これは、上海→深センと、2箇所以上に滞在して初めて気が付きました。
この2都市では、使っている貨幣が微妙に違ったのです。
具体的には、「1元」の貨幣は、上海ではコインなのに対して、深センではお札。
深センについた瞬間、見たことのないお金が出てきたんでビビリましたw
日本で例えるなら、「大阪から西は”500円札”がある」みたいな感じ? ちょっと不思議な感覚です。
中国の国土と人口による管理コストのせい?
これは個人的な考えなのですが、中国は国土が非常に広い上、人口もとても多いので、通貨の発行・流通コストもバカ高で、貨幣の統一も相当に大変なのかもしれません。
したがって、電子マネーの方が大変効率がイイと。
電子マネーなら、コインも紙幣もなく、1元は1元です。
国にとっては管理コストが安く、国民にとっては遠くの人にも簡単に送れて便利、となれば、やはりキャッシュレスの方がいいでしょう。
7,偽札も多いから
「治安が悪いところもある」「通貨が微妙に違う」に通じる内容ですが、現金の場合、偽札が紛れ込むこともあります。
僕も一度、地下鉄チケット自販機で「これ偽札だよ、使えないよ」と出てきてビックリしました。
この点も、キャッシュレスならシステム改ざん以外は偽札の作りようがなく、犯罪の抑止力になります。
8,お金を人にあげる文化があるから
中国の人は、モノだけでなく、お金自体をプレゼントすることが多いようです。
恋人や家族の誕生日などでは「お金+プレゼント」を渡すのが通例なんだとか。
日本人も、入学祝いやお年玉のように、お金自体をプレゼントする文化はあるのですが、中国はその機会が日本より少し多いようです。
そして、そのお金を渡す際も、WechatPayやアリペイを使うことが多いんだとか。
離れた場所に住んでいるオジさんからアプリでお年玉が届いたり、 会社の社長から「お年玉どうぞ」と言ってプチ臨時ボーナスがアプリで一斉送信されたり、などがあるそうです。面白いw
何が言いたいのかというと、「中国の人は、個人間決済も頻繁に行っていて、そこにもアプリ決済が使われている」ということです。
小さなことかもしれませんが、こういう文化的な特徴も、キャッシュレス社会とフィットしているような気がしました。
9,お金についておおっぴらでポジティブな文化があるから
さらに文化の話。
中国の人は、お金の話をけっこうハッキリとします。
そして、お金に対して常にポジティブな意識を持っています。
初対面の人にも「年収いくら?」とか普通に聞きますし(けっこうな頻度で聞かれましたw)、
上海在住の学生、Kくん(21)のスマホの待受は、赤金の「発財(お金がいっぱい入る)」だったりします。
日本人の場合、初対面の人に「キミ年収いくらよ?」って聞いて、スマホ待ち受けが「金儲け」みたいな人がいたら「おお…攻めてんな…」と思いますよねw
けど中国なら割と普通。 ポジティブかつハッキリと、お金の話をします。
いやらしさのようなものも感じず、「きのう何食った?」くらいのノリでお金の話をします。
これは個人的な見解でやや論理の飛躍があるかもしれませんが、このおおっぴらでポジティブなお金の文化が、「キャッシュレスの方がお得なら、そっち使うよ」という、合理性やフットワークの軽さにつながっている気もします。
個人的には、わかりやすくてけっこう好きですね。
写真は、広州で売られていたスマホケース。
ギャグ系のやつですが、だいたいぜんぶ「お金がっぽがっぽ」的な意味だそうです。
色も赤金でハデw
まとめ
さて、改めてまとめると、今回の記事は
というか、いまさら聞けないけど、キャッシュレスってなんだっけ…
という人向けの内容でした。 結論としては
- 紙幣が汚いから
- キャッシュレスの方が便利でお得だから
- 圧倒的シェアを誇る、大企業の存在があるから
- 人口が多いから
- 場所によっては治安が悪いから
- 国土が広く、地域ごとに貨幣が微妙に違うから
- 偽札も多いから
- お金を人にあげる文化があるから
- お金についておおっぴらでポジティブな文化があるから
だと感じました
という感じです。
これも、百聞は一見に如かず。
興味が湧いたら、ぜひ自分の足で現地へ行って、中国の先進的なキャッシュレス社会を見てきてください。
それでは今日はこのへんで。
明日も、よい人生とよい旅を。
あわせて読みたい
というか、いまさら聞けないけど、キャッシュレスってなんだっけ…